前々から気になっていたアストリアにあるThe Noguchi Museumに行ってきました。ここは世界的に有名な彫刻家であるイサム・ノグチ氏の作品を集めた美術館です。ノグチ氏の彫刻や家具は何度か写真やテレビで目にしていて、洗練されてて素敵だなとずっと思ってました。1920年代に工場として建設された建物の中に、シンプルに、そして静かに、彼の残した作品が整然と並べられています。
「イサム・ノグチ」
もちろん彼の名前は昔から知っていましたが、名前が日本人だけど片仮名表記だったりするので、日本人なのかアメリカ人なのかもよくわかってませんでした。調べてみると、彼は日本人の父とアメリカ人の母を持つ日系アメリカ人だったということがわかりました。でも、日本には2歳から13歳まで暮らしていたので、かなり日本的なバックグラウンドが強い人みたいです。
日本とアメリカ、バイリンガルの環境で育った彼は、いろいろと苦労したみたいですね。特に、第二次世界大戦の時期を生きたために、アメリカでは日本人として扱われ、日本ではアメリカ人として扱われ、二つの国のバックグラウンドを持つ事で、かなり紆余曲折があったようです。
こちらはノグチ氏がデザインした庭園なんですが、もしかしたら、二つの国の狭間で揺れた彼にとって、自分の作品そのものが、彼にとっての居場所だったのかもしれません。
The art of stone in a Japanese garden is that of placement. Its ideal does not deviate from that of nature. But I am also a sculptor of the West. I place my mark and do not hide.
引用元: Isamu Noguchi Quotes
彼の作品からは、かなり「和」を感じるんですが、西洋的な視点も大胆に取り入れているようですね。日本とアメリカ、二つの文化の中で感性を磨いてきた彼だからこそこういった作品が作れるんでしょうね。
美術館の中にはギフトショップやカフェも入っていて、庭園を見ながらくつろげるようになってます。ちなみにこの上からぶらさがっている照明もノグチ氏のデザインで「A・KA・RI」シリーズとして知られてます。
ここThe Noguchi Museumは彫刻、庭園、そしてインテリアと、多彩な才能を発揮したノグチ氏のエッセンスが凝縮されている場所だなと感じました。自然な素材を生かした東洋的なものをベースにしつつも、力強い西洋的なものも共存しているデザイン。そこからは、流行に左右されない普遍的な何かを感じました。作品一つ一つも興味深かったのですが、どういうわけか建物の中にいることで、非常に気持ちが落ち着きました。また機会を作ってぜひ訪れたいと思ってます。