先日、何かの雑誌で「モルガン・ライブラリー・アンド・ミュージアム(The Morgan Library & Museum)」の図書室が凄いという記事を読んだので行ってきました。今回僕が行ったのは金曜日の午後7時過ぎ。毎週金曜日午後7時から9時の間は入館料が無料になるので、この時間を狙って訪ねました。同館は1906年に、モルガン財閥の創始者、J.P.モルガン氏の個人図書館として設立されました。場所はミッドタウンの36番通りとマディソン街(Madison Ave)の交差点です。僕はこの前を何度も通ったことがあったのですが、建物がそれほど大きくないため、完全にノーマークで、いつもスルーしていました…。
この建物、よく見ると、左、真ん中、右の3つに分かれています。
左側の茶色い建物がJ.P.モルガン氏がかつて住んでいた邸宅で1880年に建てられました。右側の白い建物はその23年後、1903年に完成した「マキム・ビルディング(McKim Building)」です。J.P.モルガン氏の図書室や書斎はこの建物の中にあります。
真ん中のモダンな建物は2006年に完成しました。ここが入口になっています。
この建物やエントランスをデザインしたのは世界的な建築家、レンゾ・ピアノ氏です。同氏はホイットニー美術館やニューヨーク・タイムズ本社ビルもデザインしていて、ニューヨークの建築を語る上で外せない建築家です。非常にモダンな直線的なデザインですが、不思議と左右の歴史的な建物と調和しています。ちなみに、関西国際空港をデザインしたのもピアノ氏です。
この日は金曜日ということもあり、エントランスにある吹き抜けの広場で、ジャズトリオによる生演奏が行われていました。これ、ほんと週末気分が味わえて最高でした。
この新しい建物部分がギャラリーになっていて、絵画や彫刻などの美術品が整然と展示されています。
館内には同氏が集めた書籍が保存されているだけでなく、バッハやベートーベンなど世界的な作曲家の自筆譜や、著名人直筆の日記なども展示されています。
アメリカ文学の中でも、非常に重要な小説とされているマーク・トウェインによる「ハックルベリー・フィンの冒険」もありました。
そして、お待たせしました。こちらがマキム・ビルディングの中にある図書室です。見てください、この美しい装飾が施された大空間を。
部屋を囲むように、本棚が上に向かって3段積み上げらています。
天井の装飾も素晴らしい。まさに、ため息の出るような美しさでした。
本棚には16世紀や17世紀に出版されたと思われる本がズラリと並んでいました。
隣にはサイズが小さい図書室もありました。こちらも小じんまりとしてはいますが、素晴らしい空間でした。
そして、図書室と同じ階に、モルガン氏が書斎として使っていた部屋もあります。こちらは真っ赤な壁と絨毯が印象的なゴージャスな部屋です。
当時、投資家、銀行家としてウォールストリートを中心に活躍していたモーガン氏ですが、晩年はこの部屋で読書や勉強をして長い時間を過ごしたそうです。
余談になりますが、J.P.モルガン氏というのはかなり豪快な人だったみたいですね。葉巻を日に1ダース吸う、大食漢、数々の女性と浮名を流したみたいな話から始まり、タイタニックの実質のオーナーだったとか、エジソンと組んでGEを作ったとか、調べるといろいろ出てきます。
また、J.P.モルガン氏の甥と結婚したというモルガンお雪さんも日本人としては気になる存在です。激動の人生を歩まれてる方で、彼女の人生に基づいた舞台も作られてます。全然知らなかったです。
最後に、ミュージアムショップもすごく素敵な場所なので、ぜひ立ち寄ってみてください。お土産やプレゼントを探すのにもってこいの場所です。
というわけで、今回は「モルガン・ライブラリー・アンド・ミュージアム(The Morgan Library & Museum)」のご紹介でした。規模が小さく、メトロポリタン美術館やMOMAの影に隠れてあまり話題にのぼりませんが、本当にここの図書室は必見です!