建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトに関する特別展示会「Frank Lloyd Wright and the City: Density vs. Dispersal」がニューヨーク近代美術館(MoMA)で行われているということで、仕事帰りにMoMAに立ち寄ってきました。もちろん金曜日夜の無料で入場できる時間を狙って入館いたしました。
フランク・ロイド・ライトといえば、日本ではかつて帝国ホテルのデザインを担当したことで有名ですよね。ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館も彼の代表作として現在も訪れる人の目を楽しませてくれています。
特設スペースには、MoMAやコロンビア大学に保存されている彼にまつわる様々な資料、建築物の模型、彼自身の描いたスケッチなどが展示されています。
それぞれの作品や資料には、主に1920年代から1930年代にかけてライト氏がイメージしていたアメリカの都市に対する考えが色濃く反映されています。
かなり大きめな模型も!
有名なマイルハイ・タワーのスケッチも展示されていました。これは1956年にイリノイ州のために彼が提案したプランらしいのですが、マイルハイなので高さが約1600メートルもあるんですね…。高すぎるでしょ…、時代を先取りしすぎてるでしょ…。
どことなくドバイのブルジュ・ハリファに似ているような…と思って調べてみると、やっぱりそうみたいです。
設計には、フランク・ロイド・ライトが考えた1マイル高のビルザ・イリノイ計画の構想が影響を及ぼしている。(引用:Wikipedia)
いやいや、本当に後世に多大な影響を及ぼしてますね…。そういえば、サウジアラビアで1000メートルを超えるビルの建設計画(キングダムタワー)があると聞いたことがありますが、あれどうなってるんでしょうね。なんか資金繰りとかが大変みたいで計画が見直されたりしてるみたいでしたが、はたして実現するのでしょうか!?
さて、このマイルハイ・タワーがある意味「Density(密集)」の究極の形であるならば、展示スペースの中心にあるブロードエーカー・シティー(Broadacre City)の模型はそれとは対照的な「Dispersal(分散)」の世界を具象化したものなんだと思われます。この模型は、自動車での移動を中心としたアメリカの郊外型都市のアイデアで、都会に集中した人口を郊外で分散させ、いかに快適な居住空間を作り出せるかという問いに対するライト氏の思想を反映したものみたいです。
あくまでこれもアイデアで、実現されたことはないようなんですが、同じ形の家が立ち並ぶ直線的で画一的な街並みは、現在のアメリカ郊外の住宅街を思い起こさせます。空に伸びる密集した高層ビルの立ち並ぶ都市部、そしてフラットで広大な平野が続く郊外…。なんだかライト氏の思想やアイデアに触れることで、そういったアメリカの都市のありかたや特徴について改めて考えさせられました。
このフランク・ロイド・ライトの展示会は6月1日まで開催されていますので、興味のある方はぜひ訪れてみてください。ほんと、マイルハイ・タワーにしても、このブロードエーカー・シティーにしても、スケールが大きいですよね…。もはやここまで来ると建築家の枠を完全に超えて社会全体を考える思想家なんだなと思いました。
そうそう、フランク・ロイド・ライトの建築といえば、ピッツバーグにある落水荘が有名なのですが、実はまだ行ったことがありません。ニューヨークからだと頑張れば車でも行けるので、ぜひ今度行けたらな〜と思っています。