こんなユニークな彫刻の森がニュージャージにあったとは…。
先日、Time Out New Yorkを読んでいたら、日帰り旅行スポットとして、グラウンズ・フォー・スカルプチャー(Grounds for Sculpture)という公園が紹介されていたので、早速行って参りました。
グラウンズ・フォー・スカルプチャーは広大な敷地に、様々な彫刻が展示されている、日本でいうところの「彫刻の森」のような公園です。ニュージャージー州のハミルトンという街にあり、シティーからだと車で約1時間半ほどなので、まさに日帰り旅行にピッタリですよね。
敷地の広さはなんと42エーカー!…といってもピンと来なかったので計算してみたところ、どうやら東京ドームの3.7個分のようです。基本、歩いて回るのですが、全部見ようとすると最低でも2〜3時間はかかります。
もともとこの敷地はニュージャージー州の催し物会場として使われていたらしいのですが、1992年にジェイ・セワード・ジョンソン(J. Seward Johnson)さんによって、現代彫刻の理解と振興を目的とした公園として生まれ変わりオープンしたそうです。
そして、ここのユニークなところは、世界的な有名な絵画が、彫刻として立体的に再現されていることなんです。
例えば、入り口すぐそばにある巨大なカップルの彫刻ですが、シカゴ美術館に展示されている、「アメリカン・ゴシック」の実物バージョンでございます。確かシカゴのダウンタウンにも同じようなサイズの彫刻があった気がします。
そして、こちらもご存知の方が多いと思いますが、カイユボットの「パリの通り、雨」の絵の中で描かれているお二人です。園内を歩いていると、本当に突如としてこういう作品が現れます。あまりにも無造作に展示されているので、ギョっとすることもしばしば…。
MOMAに展示されているアンリ・マティスの「ダンスI」もこのようにアレンジされて展示されてました。ただ、これに関しては「Day Dream」という別名がつけられていて、下に仰向けで寝転がる男の人が追加されてます。この男の人、質感とかもやたらリアルで、近くによらないと、彫刻なのか本物なのかわからないんですよ!
特に、クロード・モネの作品は数多く、彫刻化されておりました。例えば、こちら「サンタドレスの庭(Jardin à Sainte-Adresse)」という作品なのですが…
こんな感じで、景色が丸ごと再現されてました。なんだか大掛かりですごいことになってます。海に浮かぶ船の位置が違うのは、私の写真の角度の問題なのであしからず。
続いて、こちら、モネが晩年期に描いたとされる日本風の橋なのですが…
こちらも見事に実物化されてます。蓮はなかったのですが、横に生えている草木にいたるまで計算されてるんでしょうね。これはかなり絵画に近いですよね!
これらの作品は、全て手で触ったり、一緒に写真を撮影したりできるようになってます。なので、なんだか自分が巨匠達の絵画の中に入り込んで、実際に生活しているような気分になるんですよね。
そして、時に、どれが彫刻で、どれが本当の人なのかすらわからなくなってしまうことも…。
実ははじめ、絵画の題材となった景色や人が実物化されているのを見て、蝋人形館に来たかのような不気味さを感じておりました。しかし、徐々に「ああ、こういう風景を見て、モネさんは絵を描いたのか〜」と画家視点で景色を捉えることができるようになり、非常に興味深い体験をすることができました。上手く言えませんが、彫刻が、二次元的で遠い存在だった絵を、リアルな現実世界とつなげる役割を果たしてくれた気がします。
園内にはレストランや休憩所も多数あるので、半日かけてゆっくり時間を過ごすことができます。特にこちら、ラッツ・レストラン(Rat’s Restaurant)はZagatでも高評価を得ているお店で、雰囲気のよいとても素敵なところでしたよ。僕はここではなくて、別の売店でハンバーガーを食べましたが…。
というわけで、今回は、グラウンズ・フォー・スカルプチャーをご紹介させていただきました。いい意味ですごくヘンテコな場所でした。マンハッタンではなかなか味わえない、非常にユニークなアート体験ができる場所です。園内が広くて、まだまだ見逃している作品もある気がするので、ぜひまた遊びに来れたらなと思っています。